楽天、タイのBanpu社と環境価値取引などで連携、電力小売のビジネスモデル開発に取り組む
| 政策/動向 | 再エネ | IT | モビリティ | 技術/サービス | 金融 |
2017年07月21日
一般社団法人エネルギー情報センター

7月18日、楽天はタイのBanpu社と、電力小売事業および環境価値取引分野において、包括連携することで合意したと発表しました。今回の合意に基づき、両社はネガワットおよび環境価値取引、日本における電力小売事業分野でのビジネスモデルの開発に取り組んでいきます。
早い段階で自由化が進められたタイ
タイは、東南アジア諸国の中では早い段階で電力自由化が進められた国の一つです。自由化されるまで、タイでは電力公社EGATが発電・送電部門を、首都圏配電公社MEAと地方配電公社PEAが配電部門を独占していたました。しかし、電力需要の急激な拡大に見合う発電設備建設が困難になり、1992年にタイ政府はIPPやSPPなど民間事業者による発電事業への参画を推進しました。こうして、発電部門から自由化が始まっていきました。
日本とタイにおけるエネルギー分野における関係は、例えば、2014年にはNEDOとタイ科学技術省国家イノベーション庁が、バイオエタノールの製造プラントの実証運転を開始しています。2015年には、東京電力がEGATと、LNGの調達から輸送、供給、発電までのバリューチェーン事業に関する協働に向けた覚書を締結しています。また、2015年の11月には、日・タイ間で二国間クレジット制度の構築に合意しました。そのほか、今年の12月には、タイ石油公社(PTT)の出資で、岩手県に出力2万5000キロワットのメガソーラーが稼働する予定です。
再生可能エネルギーについて、2015年にタイ政府が策定した「Power Development Plan 2015-2036」では、天然ガス中心の現状から、再生可能エネルギーを中心としたポートフォリオに移行する方針が示されています。再生可能エネルギーによる電力の割合に関しては、2015年の8%から2036年には15~20%と、数倍に増やすことを目標としています(図1)。

図1 「Power Development Plan 2015-2036」における設備容量の目標 出典:Ministry of Energy
楽天、タイのBanpu社と連携強化
このようなエネルギー情勢であるタイですが、楽天はタイのBanpu社と電力小売事業および環境価値取引分野において、包括連携することで合意したと発表しました。今回の合意に基づき、両社はネガワットおよび環境価値取引、日本における電力小売事業分野でのビジネスモデルの開発に取り組んでいきます。
タイのエネルギー事業大手であるBanpu社は、1983年に設立されて以来、日本を含めアジア太平洋各国で石炭事業および再生可能エネルギーを含む各種発電事業に取り組んでいます。2016年10月には、発電子会社であるBanpu Power Public Company Limitedがタイ証券取引所に上場しました。日本国内でも、同子会社を通じて、各地で太陽光発電施設を稼働しています。加えて、新規分野として、エネルギー小売りにも取り組んでいく方針で、日本を含むタイ国外で関連するノウハウや技術の獲得を進めています。
Banpu社は様々な受賞実績もあり、今年の1月には世界中の企業の持続可能性を評価する投資専門家である「RobecoSAM」から、3年連続で石炭および消耗燃料部門で「Gold Class」賞を受賞しました。また、「Industry Mover」賞は2年連続で受賞しています。そのほか、2年連続で「SET Sustainable Awards 2016」に受賞し、「Thailand Sustainability Investment 2016」のリストにも掲載されました。
楽天は、2013年6月に電力を中心としたエネルギーソリューションサービスを提供する「楽天エナジー」を立ち上げました。また、2017年2月21日、経済産業省・資源エネルギー庁から小売電気事業者への登録を受け、本年4月より電力小売事業にも本格的に参入しています。(関連記事)
加えて、「環境価値」や「ネガワット」を取り扱う私設取引プラットフォームを、今秋には開設予定であり、IoT技術を活用したHEMSの開発にも取り組んでいます。(関連記事)
この続きを読むには会員登録(無料)が必要です。
無料会員になると閲覧することができる情報はこちらです
執筆者情報

一般社団法人エネルギー情報センター
EICは、①エネルギーに関する正しい情報を客観的にわかりやすく広くつたえること②ICTとエネルギーを融合させた新たなビジネスを創造すること、に関わる活動を通じて、安定したエネルギーの供給の一助になることを目的として設立された新電力ネットの運営団体。
| 企業・団体名 | 一般社団法人エネルギー情報センター |
|---|---|
| 所在地 | 東京都新宿区新宿2丁目9−22 多摩川新宿ビル3F |
| 電話番号 | 03-6411-0859 |
| 会社HP | http://eic-jp.org/ |
| サービス・メディア等 | https://www.facebook.com/eicjp
https://twitter.com/EICNET |
関連する記事はこちら
一般社団法人エネルギー情報センター
2021年08月10日
家庭部門のCO2排出量66%減目標、住宅の省エネルギー対策「ZEH」とは
コロナの影響により在宅勤務が日常的なものとなったことで、私たちはより快適性や経済性に優れた住まいに対する関心は高まりつつあるのではないでしょうか。そのような中で、7月26日に政府が公表した「地球温暖化対策計画」の原案で、温室効果ガスの排出量を家庭部門で66%削減する検討をしていることが明らかになりました。また、27日には再生可能エネルギー等に関する規制等の総点検タスクフォース(以下、タスクフォース)にて新築戸建て住宅の約6割に太陽光発電設備を設置することが表明されました。そこで今回は、家庭部門の省エネルギーの取り組みについて、その中でも特に「ZEH(ゼッチ)」に注目して考えていきます。
一般社団法人エネルギー情報センター
2021年07月09日
世界的な半導体不足の中で、『次世代パワー半導体・先端半導体』は日本の脱炭素×成長戦略のキーワードとなるか
5月19日、トヨタ自動車は「世界的な半導体不足で国内の2つの工場の稼働を一時停止する」と発表しました。約2万台の生産に影響が出るといいます。加藤官房長官は「半導体は産業のコメともいわれ、経済社会を支える極めて重要な基盤の部品」と述べた上で、「代替装置の調達支援など経済産業省でしっかり対応していく」としました。しかし、31日、米インテルCEOは「半導体不足解消はあと数年かかる」という見方を発表しています。 では今回は、いつから、どうしてこのような半導体不足という事態が起こったのか、またそこから見えてきた課題とは。そしてそれを克服し、脱炭素社会実現と経済成長の原動力とするための日本の取り組みについてご紹介していきます。
一般社団法人エネルギー情報センター
2021年04月11日
新型コロナウイルス感染症を契機に、世界のデジタルトランスフォーメーションの流れが一気に加速しました。ある観点から見れば、デジタル化は環境にプラスの影響を与える一方で、デジタル化の副作用の一つに環境への影響があります。Facebookは「北極圏の近く」にデータセンターをつくっていますし、マイクロソフトは海中にデータセンターを沈めるなどテックジャイアントと呼ばれる企業でもさまざまな取り組みがされています。そこで、今回は、国内外の取り組みを参考に、プラスの影響とは何か、環境への負荷とは何かについて考えます。
一般社団法人エネルギー情報センター
2021年03月15日
日本のスポット電力価格は、約4週間にわたり高騰している。世界の主要な電力市場では、これほど長期間の高価格を見たことがない。この状況は、新電力に大きな損失をもたらし、破産する企業がでてくる可能性がある。この記事では、日本の状況を2016年のフランスの同様の状況と比較し、日本のこの状況が再発しないようにするための市場の透明性と先物取引、リスク管理の重要性を説明する。
一般社団法人エネルギー情報センター
2021年02月24日
米・バイデン政権の気候変動対策とは?世界、そして日本への影響は?【前編】
バイデン政権の気候変動対策ではどのような取り組みがなされ、どのような効果が期待できるのか、そして世界や日本への影響はどのようなものが考えられるのかについて、2回に渡り考えていきます。



















