固定価格買取制度の費用負担から見る制度設計
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2015年10月29日
一般社団法人エネルギー情報センター

2030年度のFIT買取価格は、国民負担の抑制とのバランスが考慮され、3.72兆円~4.04兆円の範囲に収まように検討されます。その費用負担の中で設計される今後の固定価格買取制度や規制緩和等について見ていきます。
2030年度における再生可能エネルギーの費用負担
2030年度のFIT買取価格は、国民負担の抑制とのバランスが考慮され、3.72兆円~4.04兆円の範囲に収まように検討されます。その費用負担の中で、原発を代替するベースロード型の地熱・水力・バイオマス電力の買取費用合計は約1.0兆円~約1.3兆円、火力を代替する自然変動再エネの買取費用は約2.7兆円以下となります。

自然変動再エネの費用負担
自然変動再エネ(風力、太陽光)には、約2.7兆円の買い取り費用負担が見込まれております。このうち、太陽光の買取負担が2.3兆円、風力が0.4兆円となっております。
太陽光発電
2030年時点の太陽光発電による負担予測2.3兆円の内、2.2兆円は既に認定を取得した設備が今後稼働した際の費用として充てられると想定されています。2.2兆円の場合、約6,100万kW規模の発電をカバー可能といった形になりますが、既に認定容量は8,248万kW(平成27年6月末時点)となっているため、一部の設備は運転しないと織り込まれた形の試算となります。2.3兆円から2.2兆円を差し引いた0.1兆円が、導入コストが将来的に低減する太陽光発電の導入促進に利用される形となります。
FIT買い取り価格の検討の際には、再エネの導入最大化を達成するため、買取費用の安い電源を優先的に導入していくべきだというスキームが考慮されます。このことから、自然変動再エネの場合、風力発電によりフォーカスした制度設計が進むと考えられます。
風力発電
自然変動再エネに充てられる総費用2.7 兆円から、太陽光発電による費用2.3兆円を差し引いた残りは0.4兆円となり、風力発電に配分される見込みです。現状、設備形態によって異なりますが、風力発電の買取費用(22円)は、太陽光発電(27円)よりも低いため、まず国民負担の少ない風力発電の導入を優先的に見込み、その上で、コスト負担が許容できる範囲での太陽光発電の追加的な導入が見込まれます。風力の買取費用は2015年度から2030年度まで横ばいだと想定されています。将来的には、太陽光発電と風力発電の導入コスト逆転が生じる可能性が高いです。

ベースロード電源の費用負担
ベースロード電源(地熱、水力、バイオマス)に関しては、2030年の時点で、現在の買取価格から横ばいで設定されると考えられます。現状の買取価格であっても、ベースロード電源の開発はそれほど促進されておらず、買取価格を引き下げる必要性が低いからです。ただし、実際の固定価格買取制度による買取単価は、年度毎に、再生可能エネルギーの発電が「効率的に実施される場合に通常要すると認められる費用」を基礎に「適正な利潤」を勘案して決定されます。そのため、将来的な発電コストが低価格で評価されると、それに合わせて買取価格も引き下げられます。

ベースロード電源に関して、固定価格買取制度だけではなく、その他規制の緩和等の施策により普及拡大が図られます。実際の発電普及を妨げている要因として、買取価格それ自体より各種規制に依るケースも少なくないからです。以下にてベースロード電源の規制緩和等について検討されている内容の一部を記載しているので、ご参考下さい。
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執筆者情報

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