国産では初となる「らせん水車」が始動、日本工営が自社開発・製造
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2019年04月25日
一般社団法人エネルギー情報センター

国産では初となる商用の「らせん水車」が、岩手県一関市において4月10日に運転を開始しました。今回の「らせん水車(八幡沢発電所)」の開発・製造は日本工営が実施、同社は1946年の創業以来、多面的に国内外の水力発電事業に携わってきた歴史があります。
安価かつ簡易な構造が強みの「らせん水車」
近年は渓流や農業用水路など、僅かな落差を利用したマイクロ発電と言われる水力発電の取り組みが行われています。しかし一般的に、マイクロ水力発電は設備投資額と比較し発電出力が小さく、発電コストが割高となることが課題とされています。
しかしながら、「らせん水車」は低落差であっても高効率な発電が可能であり、比較的安価なことから、水路、放流口、取水堰などの数多くの施設で開発が期待できます。また、水車構造が単純で塵芥や土砂流入に強く、魚類が流下でき、羽根形状がオープンで見学しやすいため、環境学習、教育の教材としても適しています。
現状、太陽光発電や風力発電に比べ、マイクロ水力はそれほど普及しておりませんが、比較的安定したエネルギー源を確保できる点で優れています。また、大規模水力と比較し、マイクロ水力は環境への負荷も小さく、地域に根ざしたマイクロ水力発電システムの導入が期待されています。
日本においては、1945年頃までは、渓流や農業用水路の落差を利用し、脱穀や製粉など農業用の動力源として用いられてきた歴史があります。しかし、動力設備の発達とともに衰退し、現在ではほとんど利用されなくなりました。
しかしながら、水車構造は単純なため設置が容易かつ、環境への負荷も少なく地域に根差した電源となり得ることから、近年は徐々に普及が進んでおります。こうした中、国産では初となる商用の「らせん水車」が、岩手県一関市において4月10日に運転を開始しました(図1)。今回の「らせん水車(八幡沢発電所)」の開発・製造は日本工営が実施、同社は1946年の創業以来、多面的に国内外の水力発電事業に携わってきた歴史があります。

図1 八幡沢発電所 出典:日本工営
維持管理の観点から国産採用
八幡沢発電所は、農業用水路を活用した小水力発電所です。発電電力は全て東北電力に売電されますが、建設コスト回収後は、農業水利施設の維持管理に充てられます。そのため、長期的には農業者の負担軽減を図る開発計画となっています。なお、事業主体は、地域の農業用水路の維持・管理を担う照井土地改良区です。
「らせん水車」は、低落差で発電でき、枯葉や刈草などのゴミが詰まりにくい特長があるため、農業用水路に適した小水力発電です。照井土地改良区では、その特長に早くから着目し、同地区内にある小規模発電所で「らせん水車」を2台導入してきました。
1代目は海外製らせん水車を導入しておりましたが、2件目となる今回は、日本工営の製品が採用されました。採用理由として、日本工営によると、既存の海外製に対して維持管理の改善が期待できることが要因になったとしています。
日本工営は、2015年6月~2016年6月に鹿児島県薩摩川内市において、らせん水車発電(出力30kW)の実証試験を実施しています。その後、2016年7月~2017年6月に、商用国産らせん水車製造を目的とした模型実験などを行い、2017年7月から販売を開始しています。
日本工営は、今回の八幡沢発電所の事例を通じて国産らせん水車の魅力を発信し、再生可能なクリーンエネルギーである小水力発電の導入促進、農業に携わる方々の負担軽減へと貢献することを目指すとしています。
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