卒FITの再エネ電力確保に向けた各社の動き、2023年までに130万件以上が新たなサービスに移行
| 政策/動向 | 再エネ | IT | モビリティ | 技術/サービス | 金融 |
2019年03月06日
一般社団法人エネルギー情報センター

卒FITの市場規模として、件数ベースでみると、2019年〜2023年合計では少なくとも130万件、最大で210万件程度になると推測されます。これらの卒FIT電源を確保するため、各社が様々なサービスを提供しており、それらサービスの特徴を見ていきたいと思います。
2019年以降順次、買取期間の満了をむかえる太陽光発電
これまでの日本の再エネ普及を歴史的にみると、補助金による導入支援から始まり、2003年からはRPS制度が開始、そして太陽光の余剰電力買取制度(2009年~2012年)の後を受けて、2012年7月からFIT制度が創設されました。
この内、2009年に開始された買取制度は、太陽光発電で作られた電力のうち、余剰電力が買取対象となる制度です。10年間の買取期間が設定されており、2019年以降順次、買取期間の満了をむかえることになります。
買取期間が終了した電源については、法律に基づく電力会社の買取義務はなくなります。ただし、①自家消費 、または②相対・自由契約で余剰電力を売電することにより、引き続き太陽光発電のメリットを享受できます。
10電力会社は、こうした卒FITの太陽光発電につき買取を実施すると表明しており、概ね4~6月に具体的な内容を公表する予定です。また、10電力会社以外にも、新電力会社が卒FIT電源を買い取ると表明しており、太陽光発電のオーナーは、高価な価格で売電できる事業者を選択することができます。
価格については、法律に基づく買取制度による単価(24~42円/kWh)よりも大幅に下がることが想定され、各新電力会社等の発表によると、当初は8円/kWh前後になる可能性が高いと考えられます。
10電力会社による買取メニューの公表予定時期
- 北海道電力:6月
- 東北電力:6月
- 東京電力:6月
- 中部電力:4月
- 北陸電力:4月
- 関西電力:4月
- 中国電力:4月
- 四国電力:4月
- 九州電力:5〜6月
- 沖縄電力:6月
卒FIT電源の確保に向けた各社の取り組み・動き
卒FITの市場規模として、件数ベースでみると、2019年〜2023年合計では少なくとも130万件、最大で210万件程度になると推測されます(表1)。これらの卒FIT電源を確保するため、各社が様々なサービスを提供しており、下記にてそれらサービスの特徴を見ていきたいと思います。
スマートテック、早い段階から卒FITサービスを実現
最も早い段階で卒FITサービスを形にした企業と考えられるのが、スマートテックです。2018年6月26日に「卒FIT」住宅太陽光向け買い取りサービス「スマートFIT」を開始したと発表しました。東北、関東、中部、近畿、中国、九州エリアを対象としており(離島を除く)、買取価格は、2019年度および2020年度にFIT切れする世帯で10円/kWhです。買取期間は2年間保証となっており、2021年度以降にFIT切れする世帯については、12~42円/kWhにて提供する予定としています。
シェアリングエネルギー、蓄電池のEC販売との連携
シェアリングエネルギーは2018年11月1日、「卒FIT」住宅太陽光向けサービス「シェアでんき卒FIT」を開始したと発表しました。太陽光の余剰電気を買い取る「余剰電力の買取」と、インターネットを活用した「蓄電池のEC販売」の2つのサービスを提供する点が特徴です。余剰電力を1kWhあたり8円/kWhで買い取るもので、買取期間は2年間保証となっています。東北・関東・中部・近畿・中国・九州の各エリアの先着1000棟が対象となっています(離島を除く)。
積水ハウス、同社のオーナー向け高価格サービス
積水ハウスは2019年1月31日、太陽光発電の余剰電力を買い取る「積水ハウスオーナーでんき」を発表しました。同社の住宅オーナーを限定としたサービスであり、対象者は限られるものの、11円/kWhという高水準な価格設定が特徴です。買取った電力は「RE100」の達成のために、積水ハウスグループで有効活用するとしています。3月から事前申し込み受け付けを始め、11月から事業を開始します。
昭和シェル石油とソーラーフロンティア、全国対応の体制構築
昭和シェル石油とソーラーフロンティアは2019年2月28日、卒FIT太陽光の余剰電力買い取りサービスの事前登録受付を開始したと発表しました。買取価格は九州エリアが7.5円/kWh、その他のエリアが8.5円/kWhと設定されており、日本のほぼ全てのエリアをカバーしていることが特徴です(沖縄・離島を除く)。原則として、昭和シェル石油の電気プランを契約している需要家を対象としたサービスであり、実際の買い取りは、買取期限の切れる11月からとなります。
買取期間満了予定件数(2019年〜2023年)
| 件数(2019年〜2023年合計) | |
|---|---|
| 北海道 | 12,400~43,900 |
| 青森県 | 4,200~13,500 |
| 岩手県 | 12,000~26,300 |
| 宮城県 | 24,100~42,200 |
| 秋田県 | 2,200~9,200 |
| 山形県 | 5,700~15,700 |
| 福島県 | 21,200~41,400 |
| 茨城県 | 36,800~67,500 |
| 栃木県 | 33,600~52,000 |
| 群馬県 | 33,600~52,300 |
| 埼玉県 | 73,200~118,600 |
| 千葉県 | 56,400~92,600 |
| 東京都 | 58,000~95,600 |
| 神奈川県 | 64,000~65,300 |
| 新潟県 | 6,900~16,100 |
| 富山県 | 6,300~13,200 |
| 石川県 | 5,300~12,700 |
| 福井県 | 5,400~12,800 |
| 山梨県 | 14,800~27,600 |
| 長野県 | 41,000~74,400 |
| 岐阜県 | 28,700~51,900 |
| 静岡県 | 67,200~91,800 |
| 愛知県 | 100,500~143,800 |
| 三重県 | 28,500~46,500 |
| 滋賀県 | 25,400~40,000 |
| 京都府 | 21,400~36,900 |
| 大阪府 | 59,300~90,100 |
| 兵庫県 | 58,800~88,100 |
| 奈良県 | 14,700~30,400 |
| 和歌山県 | 12,600~25,700 |
| 鳥取県 | 5,900~13,100 |
| 島根県 | 7,600~14,700 |
| 岡山県 | 37,000~53,200 |
| 広島県 | 45,300~61,000 |
| 山口県 | 24,800~37,700 |
| 徳島県 | 9,000~19,500 |
| 香川県 | 15,000~24,600 |
| 愛媛県 | 20,100~31,300 |
| 高知県 | 8,300~19,100 |
| 福岡県 | 59,700~96,800 |
| 佐賀県 | 17,000~29,600 |
| 長崎県 | 21,300~34,100 |
| 熊本県 | 34,500~58,700 |
| 大分県 | 21,300~33,600 |
| 宮崎県 | 23,900~37,900 |
| 鹿児島県 | 28,000~46,300 |
| 沖縄県 | 10,100~24,700 |
| 合計 | 1,323,000~2,174,000 |
表1 買取期間満了予定件数(2019年〜2023年) 出典:経済産業省資料より作成
卒FITに向けた新会社設立の動き
卒FITの動向を見据え、会社間の連携や新会社設立の動きが相次いでいます。下記にて、卒FITに向けた新会社設立の事例を見ていきたいと思います。
メディオテック、ブロックチェーンでJEPX価格連動の買取
メディオテックは、ブロックチェーンやAIなど最先端IT技術を駆使した次世代電力サービスを提供するため「株式会社ダイレクトパワー」を2018年9月に設立したと発表しました。同社によると、ブロックチェーンを利用し、卒FIT電気を30分毎に変動するJEPXの仕入れ価格と連動した価格で買い取る予定としています。2017年度の平均仕入れ価格(関東システムプライス)は10.15円であり、この仕入れ価格に可能な限り近い価格で買い取りができるよう調整が行われています。なお、サービスの開始予定は2019年春となっています。
丸紅新電力とパネイルが「丸紅ソーラートレーディング」を設立、代理店希望者など受付
丸紅新電力とパネイルは、卒FIT向けサービスを提供する新会社「丸紅ソーラートレーディング」を2018年11月7日に共同設立したと発表しました。同社の公式ホームページにて、代理店希望者および買取サービス希望者の事前受付を開始しています。
卒FITに向けた新サービス
各企業が自社独自の強みを生かし、卒FITに向けたサービスを開発しています。下記にて、卒FITに向けた新サービスの事例を見ていきたいと思います。
リミックスポイント、余剰電力を集約・活用する新しいエネルギー管理サービスを模索
リミックスポイントは2018年11月15日、「卒FIT」太陽光の余剰電力を集約・活用する新しいエネルギー管理サービスの策定を開始したと発表しました。リミックスポイントがIoTを活用したVPPを構築し、一般家庭や電力需要家、アグリゲーター、太陽光発電メーカー、蓄電池メーカー、自動車メーカーなどを巻き込み「エネルギーコンソーシアム」を構築するとしています。
ネクストエナジー、蓄電池にAIを附帯
卒FITにより蓄電システムの需要が急速に伸びていくと想定されます。こうした中、ネクストエナジー・アンド・リソースは2018年11月20日、自社ブランドのリチウムイオン蓄電システム「NX3098」シリーズに、AI(人工知能)制御サービスを付帯して販売開始すると発表しています。AI蓄電システムが日々の電気の使い方を学習し、ライフスタイルに合わせて充放電を最適にコントロールするものとなります。
「卒FIT」太陽光の買取サービスを提供する企業を支援するサービス
この続きを読むには会員登録(無料)が必要です。
無料会員になると閲覧することができる情報はこちらです
執筆者情報

一般社団法人エネルギー情報センター
EICは、①エネルギーに関する正しい情報を客観的にわかりやすく広くつたえること②ICTとエネルギーを融合させた新たなビジネスを創造すること、に関わる活動を通じて、安定したエネルギーの供給の一助になることを目的として設立された新電力ネットの運営団体。
| 企業・団体名 | 一般社団法人エネルギー情報センター |
|---|---|
| 所在地 | 東京都新宿区新宿2丁目9−22 多摩川新宿ビル3F |
| 電話番号 | 03-6411-0859 |
| 会社HP | http://eic-jp.org/ |
| サービス・メディア等 | https://www.facebook.com/eicjp
https://twitter.com/EICNET |
関連する記事はこちら
一般社団法人エネルギー情報センター
2021年08月10日
家庭部門のCO2排出量66%減目標、住宅の省エネルギー対策「ZEH」とは
コロナの影響により在宅勤務が日常的なものとなったことで、私たちはより快適性や経済性に優れた住まいに対する関心は高まりつつあるのではないでしょうか。そのような中で、7月26日に政府が公表した「地球温暖化対策計画」の原案で、温室効果ガスの排出量を家庭部門で66%削減する検討をしていることが明らかになりました。また、27日には再生可能エネルギー等に関する規制等の総点検タスクフォース(以下、タスクフォース)にて新築戸建て住宅の約6割に太陽光発電設備を設置することが表明されました。そこで今回は、家庭部門の省エネルギーの取り組みについて、その中でも特に「ZEH(ゼッチ)」に注目して考えていきます。
一般社団法人エネルギー情報センター
2021年07月09日
世界的な半導体不足の中で、『次世代パワー半導体・先端半導体』は日本の脱炭素×成長戦略のキーワードとなるか
5月19日、トヨタ自動車は「世界的な半導体不足で国内の2つの工場の稼働を一時停止する」と発表しました。約2万台の生産に影響が出るといいます。加藤官房長官は「半導体は産業のコメともいわれ、経済社会を支える極めて重要な基盤の部品」と述べた上で、「代替装置の調達支援など経済産業省でしっかり対応していく」としました。しかし、31日、米インテルCEOは「半導体不足解消はあと数年かかる」という見方を発表しています。 では今回は、いつから、どうしてこのような半導体不足という事態が起こったのか、またそこから見えてきた課題とは。そしてそれを克服し、脱炭素社会実現と経済成長の原動力とするための日本の取り組みについてご紹介していきます。
一般社団法人エネルギー情報センター
2021年04月11日
新型コロナウイルス感染症を契機に、世界のデジタルトランスフォーメーションの流れが一気に加速しました。ある観点から見れば、デジタル化は環境にプラスの影響を与える一方で、デジタル化の副作用の一つに環境への影響があります。Facebookは「北極圏の近く」にデータセンターをつくっていますし、マイクロソフトは海中にデータセンターを沈めるなどテックジャイアントと呼ばれる企業でもさまざまな取り組みがされています。そこで、今回は、国内外の取り組みを参考に、プラスの影響とは何か、環境への負荷とは何かについて考えます。
一般社団法人エネルギー情報センター
2021年03月15日
日本のスポット電力価格は、約4週間にわたり高騰している。世界の主要な電力市場では、これほど長期間の高価格を見たことがない。この状況は、新電力に大きな損失をもたらし、破産する企業がでてくる可能性がある。この記事では、日本の状況を2016年のフランスの同様の状況と比較し、日本のこの状況が再発しないようにするための市場の透明性と先物取引、リスク管理の重要性を説明する。
一般社団法人エネルギー情報センター
2021年02月24日
米・バイデン政権の気候変動対策とは?世界、そして日本への影響は?【前編】
バイデン政権の気候変動対策ではどのような取り組みがなされ、どのような効果が期待できるのか、そして世界や日本への影響はどのようなものが考えられるのかについて、2回に渡り考えていきます。



















