世界最大級、1万kWの水素製造装置が建設開始、2020年までに再エネで水素製造・供給予定
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2018年08月15日
一般社団法人エネルギー情報センター

NEDOなどは8月9日、福島県浪江町において、再エネを利用した世界最大級となる1万kWの水素製造装置を備えた水素エネルギーシステム「福島水素エネルギー研究フィールド」の建設工事を開始したと発表しました。
世界最大級の水素製造装置、2020年までに供給予定
電力を大量かつ長期に保存する代表的な方法として揚水発電がありますが、立地等の制約で拡大が難しく、蓄電池を利用する場合はコストの問題などが発生します。その点で、水素は電力よりも比較的容易に貯蔵することができ、圧縮水素トレーラーなどを使うことで長距離輸送も可能です。
水素は、燃料電池によるコジェネレーションや、燃料電池自動車・燃料電池バスといった移動体など、さまざまな用途で利用可能です。将来的には、再エネ由来の水素を活用する「CO2フリーな水素供給システム」の確立が望まれています。
また、政府が2017年12月に公表した「水素基本戦略」では、大規模かつ長期間の貯蔵を可能とする、水素を用いたエネルギー貯蔵・利用(Power-to-Gas)が必要とされています。
この水素を用いたエネルギー貯蔵・利用(Power-to-Gas)には、出力変動の大きい再エネを最大限活用するための電力系統需給バランス調整機能だけでなく、水素需給予測に基づいたシステムの最適運用が必要となります。
NEDOは、「再エネから得た電力で水素を製造、利用するシステム」の実現を目指し、研究開発プロジェクトを推進しています。2016年9月から、Power to Gasシステムの経済性・技術成立性の評価などを実施する基礎検討(FSフェーズ)を6テーマにおいて実施してきました。
そして2017年8月1日、NEDOは各テーマの実現可能性や計画内容を評価し、3テーマについてシステム技術開発(実証フェーズ)に移行することを決定しました[関連記事]。その内の1つが、世界最大級となる1万kWの水素製造装置を備えた水素エネルギーシステム「福島水素エネルギー研究フィールド」です。NEDOなどは8月9日、福島県浪江町において建設工事を開始したと発表しました(図1)。

図1 福島水素エネルギー研究フィールド完成イメージ
今後は、2019年10月までに本システムの建設が完了し、試運転の開始となる見込みです。その後、2020年7月までに技術課題の確認・検証を行う実証運用と、水素の輸送が開始される予定となっています。
実証に参加する各社の役割
今回の実証の委託先となる東芝エネルギーシステムズ、東北電力および岩谷産業は、各々の強みを生かし、事業を推進していきます。東芝エネルギーシステムズは、プロジェクト全体の取り纏めおよび水素エネルギーシステム全体を担当します。東北電力は、電力系統側制御システムおよび電力系統関連を担当します。岩谷産業は、水素需要予測システムおよび水素貯蔵・供給関連を担当します。
また、旭化成は8月10日、東芝エネルギーシステムズより、大型アルカリ水電解システムを「福島水素エネルギー研究フィールド」向けに受注したと発表しています。
大型アルカリ水電解システムは、1ユニットサイズとして世界最大規模(最大水電解電力10MW、最大水素製造量2,000Nm3/h)となります。旭化成は、世界有数のシェアを持つ食塩電解技術をベースに、NEDOの支援を受け、大型アルカリ水電解システムの開発を進めてきました。高いエネルギー効率と、優れた変動出力応答性を有するものであり、この開発技術をベースとした大型アルカリ水電解システムが納品されています。
水素システムで電力系統の需給バランス調整
今回の「福島水素エネルギー研究フィールド」では、隣接する太陽光発電と系統からの電力を用いて水素を製造します。1万kWの水素製造装置により、年間最大900トン規模の水素を製造し、貯蔵・供給します。
水素の製造・貯蔵は、市場における水素需要予測に基づいて行われます。また、水素製造量を調節することにより、電力系統の需給バランス調整が行われます。
この水素の製造・貯蔵と、電力系統の需給バランス調整の最適な組み合わせを実現することが今回の実証運用の最大の課題となります。このため、実証運用では、電力系統のディマンドリスポンス対応と水素需給対応を組み合わせた最適な運転制御技術が検証されます。
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