日立造船、国内最大の水素発生装置を開発、メガ級の発電所の余剰電力を貯蔵可能に
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2018年06月14日
一般社団法人エネルギー情報センター

日立造船は6月、国内最大となる200Nm3/hの水素を製造できる固体高分子型水素発生装置を開発したと発表しました。これにより、メガワット級の発電施設において「Power to Gas」による余剰電力の貯蔵を可能とします。今年度に実証実験を開始し、来年度の販売開始を目指すとしています。
メガクラスの再エネ発電所で「Power to Gas」
大規模なメガソーラーや風力発電所になると、わずかな出力変動でもMWレベルになり、蓄電設備もその規模に対応できる性能が必要とされます。大容量向けとして期待されている蓄電池には例えば、NAS電池、レドックスフロー電池といったものがあります。
NAS電池は、エネルギー密度が高く、電解質が固体のため自己放電がない等の特徴を持ちます。一方で、モジュール電池内部は約300℃となり、火災事故が発生した事例もあるため、特に安全性に対して対策をとるべき蓄電池の1つです。
レドックスフロー電池は、エネルギー密度が低いため小型化は不向きなものの、サイクル数が1万回以上と圧倒的に高いです。また、バナジウムやクロムなど燃焼性の低い物質を使うため、安全性にも優れています(図1)。

図1 各種二次電池の比較 出典:電気学会
再エネの余った電力を貯めておく手段として、蓄電池を使うほかにも「Power to Gas」があります。「Power to Gas」は、再生可能な電力から水素や合成メタンを製造する技術であり、例えば水電解は電力エネルギーにより水を分解して水素を取り出します。
この取り出した水素は、燃やしても水しか生成しないため、クリーンエネルギーとして利用が注目されています。こうした中、日立造船は6月、国内最大となる200Nm3/hの水素を製造できる固体高分子型水素発生装置を開発したと発表しました(図2)。これにより、メガワット級の発電施設において余剰電力の貯蔵を可能とします。今年度に実証実験を開始し、来年度の販売開始を目指すとしています。

図2 装置が入った40フィートコンテナ 出典:日立造船
可搬式のため設置コストが安価
水素発生装置は、風力発電など、再エネによって生み出された電力の余剰分を、水の電気分解により水素として貯蔵することができます(図3)。今回の装置は、国内最大となる200Nm3/hの水素製造能力を有し、メガワット級の電力変換に対応した国内初の製品です。また、高純度の水素(純度99.999%-dry)を製造可能です。
日立造船によると、心臓部である電解槽の大型化に関しては、同社の持つ電解技術とフィルタープレスの技術を融合させることにより、開発に成功したとしています。また、40フィートコンテナに収納した可搬式であり、ボンベの運搬・保管・交換が不要のため、設置コストが安価というメリットを持ちます。

図3 (左)水素製造の仕組み、(右)固体高分子型電解槽 出典:日立造船
2019年度から販売開始の予定
日立造船は、1974年のサンシャイン計画から一貫して水素発生装置の開発に取り組んできました。2000年には水素発生装置「HYDROSPRING」の販売を開始しています。そして今回、水素需要の増加を見据えて大型固体高分子型水素発生装置を開発しました。
今後の予定については、本年度、柏工場において性能確認試験や耐久性試験などの実証実験を行います。そして2019年度から、本格的に販売を開始する予定です。
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