太陽光などの光を蓄え発光する「蓄光」、九州大学が世界初のレアメタル不要なメカニズム実現
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2017年10月03日
一般社団法人エネルギー情報センター

10月3日、九州大学はレアメタル不要な新しい蓄光メカニズムを実現したと発表しました。世界初の有機材料を使った蓄光システムとなり、既存の無機蓄光材料には不可欠なレアメタルを一切含みません。塗料や繊維など新しい用途への幅広い展開が可能となり、蓄光材料の普及に広く貢献するものと期待されます。
世界初の有機材料を使った蓄光システム
蓄光とは、太陽光や人工照明の光をエネルギーとして蓄積し、その蓄積したエネルギーが放出され光を出す現象のことです。数時間に渡って発光できるため、時計の文字盤や非常誘導灯など、電力を必要としない光源として利用されています。
日本においては、2005年に東京都が火災予防条例で、地下駅舎に「蓄光式の避難誘導明示物」の設置を義務化しています。また、2010年に総務省消防庁が通知した「消防予第177号」によって、高輝度蓄光式誘導標識」の運用規定が明確化されています。
このように、電気が消えている状態でも、暗闇下で光って見えることから利便性の高い蓄光材料ですが、経済的制約により、用途は未だ限られています。従来、蓄光材料は全てユーロピウムなどのレアメタルを含む無機材料で構成されており、その合成には 1000℃以上の高温処理や粒径制御、溶媒への分散といった多くの工程が必要となるからです。このようなレアメタルの資源的制約、複雑な合成プロセスによる経済的制約が、蓄光材料の普及を妨げているといえます。
こうした中、九州大学はレアメタル不要な新しい蓄光メカニズムを実現したと発表しました。世界初の有機材料を使った蓄光システムとなり、既存の無機蓄光材料には不可欠なレアメタルを一切含みません。
加えて、簡便なプロセスで作成できるだけでなく、溶媒への可溶性・透明性・柔軟性といった機能を付与できます。そのため、塗料や繊維など新しい用途への幅広い展開が可能となり、蓄光材料の普及に広く貢献するものと期待されます。
有機太陽電池のように光エネルギーを蓄積、有機ELのように光エネルギーへと再変換
今回の研究では、単純な構造の2つの有機分子(電子ドナー材料と電子アクセプター材料)を混合するだけで蓄光発光が得られることが見いだされています。
まず、有機太陽電池のように光エネルギーが一度、電荷分離状態へと変換され、蓄積されます。その後、有機ELのように電荷再結合によって、光エネルギーへと再変換されます。この過程が、全て2つの有機分子内で行われます(図1)。
そのため、この有機分子の混合物に光を当てると、光エネルギーを蓄積し、光照射を止めた後も長時間に渡って発光をすることが可能となります。

図1 有機蓄光の発光メカニズム 出典:九州大学
溶媒への可溶性などの機能を付与可能に、蓄光材料の新しい用途を開拓する可能性
今回の有機蓄光システムでは、溶媒への可溶性、透明性、柔軟性といった、既存の無機蓄光材料では実現困難な機能を付与できるようになります。そのため、これまでは困難であった蓄光材料の新しい用途を開拓することが期待されます。
加えて、材料となる2つの有機分子は簡便に合成できる上、混合するだけでよく、複雑なプロセスは不要です。また、最適な分子設計を行うことで、容易に発光持続時間・発光効率の改善や発光色の制御が可能とされています。
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