洗濯ができる太陽光電池の実現、衣服に貼り付けウェアラブルセンサーの電源に
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2017年09月19日
一般社団法人エネルギー情報センター

9月19日、理化学研究所は東京大学と科学技術振興機構との共同研究グループにて、超薄型有機太陽電池の開発に成功したと発表しました。洗濯も可能な伸縮性と耐水性を持つため、衣服に貼り付けることでウェアラブルセンサーなどの電源としての活用が期待されます。
太陽光発電を衣服に貼り付け、ウェアラブルセンサーの電源に
近年、環境からエネルギーを取得するエナジーハーベスト技術とセンサーを組み合わせることで、センサーをスマート化する開発が盛んに行われています。特にウェアラブルなセンサーはスマート化することで、生体情報の継続的なモニタリングが可能となります。例えば、血圧・体温を継続的に測定することが可能になると、脳梗塞や風邪といった疾患の早期発見につながると考えられています。また、センサーでバイタルサインを検出し、AIと連携するといったことも可能となります(図1)。

図1 ウェアラブルセンサーの具体的な応用例 出典:経済産業省
2016年1月に閣議決定された「第5期科学技術基本計画」では、日本の目指すべき社会として、超スマート社会 (Society5.0) が提起されました。その中で、ウェアラブルは「健康・医療」においての要素技術として位置づけられています(図2)。

図2 Society5.0について 出典:内閣府
健康面においてポテンシャルを持つウェアラブル機器ですが、生体継続モニタリングのために、衣服に貼り付け可能な電源が重要となります。これは、衣服上へ電源を貼り付けることで十分な面積を確保でき、大きな電力を環境から取り出すことができるためです。このようなエナジーハーベスト技術の中でも高い電力を供給でき、かつ柔軟性にも優れた有機太陽電池は、ウェアラブルセンサー用電源の有力な候補として注目を集めています。
しかし、①十分なエネルギー変換効率、②伸縮性、そして③耐水性という三つの重要な要素の同時達成は難しいため、これまで衣服貼り付け可能かつ洗濯可能な有機太陽電池は実現していませんでした。特に、非常に薄いフィルムを利用した場合には、フィルム表面の平坦性の確保が難しいことや、気体を透過させにくい性質が著しく低下することから、高い性能や長期間の安定動作を実現させることが難しいといった課題がありました。
そうした中、理化学研究所は東京大学と科学技術振興機構との共同研究グループにて、超薄型有機太陽電池の開発に成功したと発表しました(図3)。洗濯も可能な伸縮性と耐水性を持つため、衣服に貼り付けることでウェアラブルセンサーなどの電源としての活用が期待されます。

図3 衣服上に貼り付けた超薄型有機太陽電池の洗濯写真 出典:理化学研究所
高いエネルギー変換効率、7.9%を達成
共同研究チームが開発した有機太陽電池は、大気中・水中の保管でも劣化なく動作します、この超柔軟な有機太陽電池は、厚さわずか1マイクロメートルの基板フィルムと封止膜を利用しており、曲げたり、つぶしたりしても動作します。
このように超薄型でありながら、高いエネルギー変換効率を実現しています。ガラス支持基板から剥離した状態で高いエネルギー変換効率を示し(図4)、エネルギー変換効率7.9%を達成しました。これまでの柔軟性の高い有機太陽電池の効率が4.2%であることと比較すると、2倍近い効率の改善となります。
さらに、このデバイスは約50%までつぶしても安定的に駆動し、非常に高い機械的柔軟性を持つことも確認されています。

図4 超薄型有機太陽電池の電流・電圧特性 出典:理化学研究所
高い耐水性、2時間の水中浸漬でもエネルギーの低下は5%
今回の超薄型有機太陽電池は、高いエネルギー変換効率に加え、高い耐水性を持っています。あらかじめ引張させた2枚のゴムによって、厚さ3μmの超薄型有機太陽電池を双方向から挟むことで、伸縮性を保ちつつ、耐水性を劇的に向上する封止を実現しています。
ゴム封止がないデバイスでは、120分間の水中浸漬によりエネルギー変換効率が初期値から20%程度低下したのに対し、ゴム封止を行ったサンドイッチ構造のデバイスでは5%の低下に抑えられています(図5)。また、ゴム封止を行ったデバイスは非常に高い伸縮性を持ち、水滴をデバイス上へ滴下・一定時間保持しつつ約50%の伸縮を繰り返し行った際にも、エネルギー変換効率は初期値の80%を保ちました。
さらに、黒水性ペンでデバイス表面に染みを付けた際にも、デバイスを洗剤液中にて浸漬・撹拌することによってデバイス表面の汚れを取り除くことで、エネルギー変換効率を初期値に戻すことが可能としています。

図5 水中への浸漬時間によるエネルギー変換効率の変化 出典:理化学研究所
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