使用済太陽光パネル、リサイクルシステムの構築などについて総務省が勧告
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2017年09月13日
一般社団法人エネルギー情報センター

9月8日、総務省は使用済太陽光パネルの廃棄処分等の 実施状況を調査し、その結果を取りまとめ、必要な改善措置について勧告したと発表しました。環境省と経済産業省に対して、「災害による損壊パネルへの対処」や、「使用済パネルの適正処理・リサイクル」について勧告を行っています。
総務省、環境省と経済産業省に対して「使用済太陽光パネル」に関する勧告
平成24年7月の再生可能エネルギー固定価格買取制度の創設以降、太陽電池モジュールの導入が拡大しています。総務省によると、太陽光パネルの耐用年数は20年から30年程度とされています。そのため、太陽光パネルの寿命や修理交換に伴い、2030年代半ば頃から使用済太陽光パネルの排出量が急増する見込みです。具体的には、2015年の約2400トンから、2040年には約80万トンと300倍以上の規模になる想定です。
また、2030 年までの間においても、住宅用太陽光パネルを中心に排出量は増えていく見込みです。住宅用に関しては、2015年の約700トンから、2030年には35倍以上の約2万5000トンに、そして非住宅用に関しては2015年の約1700トンから2030年には約4200トンと2倍以上になる想定です(図1)。

図1 使用済パネルの排出量の見込み 出典:総務省
将来の大量廃棄の問題のみならず、現状においても、様々な問題が指摘されています。それは、①地震、台風等により、太陽光パネルが損壊し、感電や土壌が汚染するおそれ、②事業者間の競争激化、買取価格の引下げ等に伴う倒産事業者の急増といったものです。
そうした中、総務省は使用済太陽光パネルの廃棄処分等の 実施状況を調査し、その結果を取りまとめ、必要な改善措置について勧告したと発表しました。環境省と経済産業省に対して、「災害による損壊パネルへの対処」や、「使用済パネルの適正処理・リサイクル」について勧告を行っています。
2つに大別される勧告内容
今回の実態調査の結果に基づく勧告は2つに大別され、「1.災害による損壊パネルへの対処」、そして「2.使用済パネルの適正処理・リサイクル」となります。
まず、「1.災害による損壊パネルへの対処」については、総務省が環境省に対し、下記の勧告を行っています。
- 感電等の危険性やその防止措置の確実な実施等について周知徹底
「2.使用済パネルの適正処理・リサイクル」については、総務省が環境省と経済産業省に対し、下記2点の勧告を行っています。
- 有害物質情報を容易に確認・入手できる措置、情報提供義務の明確化、適切な埋立方法の明示
- パネルの回収・適正処理・リサイクルシステムの構築について、法整備も含め検討
以下にて、「1.災害による損壊パネルへの対処」、「2.使用済パネルの適正処理・リサイクル」の勧告内容等について、より細かく見ていきたいと思います。
1.災害による損壊パネルへの対処、感電等の防止措置の確実な実施等について勧告
太陽光パネルは、災害で損壊しても、日光が当たる限り発電するため、接触すれば感電するおそれがあります。また、パネルには有害物質(鉛、セレン等)が使用されているものもあり、流出する可能性もあります。
そのため、9 都道府県12市町村及び関係事業者に対し、損壊パネルの感電等の危険性の認識状況などの調査が行われました。
まず、損壊パネルによる感電や有害物質流出の危険性について、一部を除き、地方公共団体・事業者とも十分な認識がなく、地域住民への注意喚起も未実施という調査結果となりました。加えて、損壊現場における感電等の防止措置は、一部を除き、十分かつ迅速に実施されていない状況となっています。
例えば、台風による損壊現場では、感電等の防止措置が講じられないまま損壊パネルが存置されていたという事例があります。さらに、当該損壊パネルを引き取った産業廃棄物処理業者が溶出試験を行ったところ、基準を上回るセレンが検出されました。
このように、感電等の危険性が現場に十分浸透しておらず、適切な防止措置も実施されていない現状が調査結果により示されました。今後、災害が発生し太陽光パネルが損壊した場合、被災現場において、地域住民の感電や有害物質の流出が起こるおそれがあります。
そのため、総務省は環境省に対し、「損壊パネルによる感電等の危険性、地域住民等への注意喚起及び感電等の防止措置の確実な実施について周知徹底する必要がある」と勧告しました。
2.使用済パネルの適正処理・リサイクル、適切な埋立方法の明示等について勧告
使用済パネルは、そのほとんどが産業廃棄物に該当します。廃棄に当たっては、廃棄物処理法により、「ⅰ)排出事業者は、使用済パネルに含まれる可能性のある有害物質に関する情報を産業廃棄物処理業者に提供すること、ⅱ)産業廃棄物処理業者は、有害物質の含有等廃棄物の性状に応じて適正な処理を行うこと」が求められています。
その点に関して、今回、12都道府県・政令市、65事業者者(33排出事業者、32産業廃棄物処理業者)に対し、使用済パネルの廃棄処理の状況、リサイクルの状況等が調査が行われました。
調査では、有害物質情報は排出事業者から産廃処理業者に十分提供されていないという結果となりました。有害物質含有の有無が未確認のまま、遮水設備のない処分場に埋立てされており、有害物質が流出する懸念があります。
具体的には、25排出事業者において、有害物質情報を8割が産廃処理業者に提供せずといった結果となりました。25産廃処理業者においては、有害物質情報を6割が確認せずといった結果となりました。そのため、有害物質の含有が未確認となり、遮遮水設備のない処分場に埋立てするといった事例が発生しました(図2)。

図2 有害物質情報の提供状況等 出典:総務省
そのため、環境省と経済産業省に対して、①有害物質情報を容易に確認・入手できるよう措置、② 排出事業者から産廃処理業者への有害物質情報の提供義務の明確化、③適切な埋立方法を明示の必要性について勧告が行われました。
使用済パネルのリサイクルシステム等の構築に関する勧告
そのほか、現状では災害時も平常時においても、パネルの適正処理が十分行われていない状況にあるという調査結果がありました。そのため、処理現場の多くの地方公共団体・事業者から、家電リサイクル法などと同様、回収・リサイクルシステムの整備が必要との意見が出されました。
一方、リサイクルの現状は、処理コストの問題、パネルの大部を占めるガラスの再生利用先の確保が困難、そして排出量自体が少ないことなどから、未だ十分な環境が整備されていません。そのため、環境省と経済産業省に対し、「使用済パネルの回収・適正処理・リサイクルシステムの構築について、法整備も含め検討する必要がある」との勧告が行われました。
「既存のガイドラインでは具体的な処理方法が分からない」といった意見
使用済太陽光パネルに関する問題については、環境省は既に平成28年3月、「太陽光発電設備のリサイクル等の推進に向けたガイドライン(第一版)」を策定しており、その中で、撤去、運搬、リユース、リサイクル・適正処分等の方法を示しています。また、損壊した設備による感電等の防止措置についても通知(平成28年5月16日付け環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部廃棄物対策課事務連絡)を行っています。
しかし、現状のガイドラインでは、排出事業者及び産業廃棄物処理業者は十分理解していないという調査結果となりました。また、多くの排出事業者、産業廃棄物処理業者及び県市から、現状のガイドラインでは具体的な処理方法が分からない、実用性に欠けるなどの意見が出ました。
さらに、排出事業者などに指導を行う立場の県市の間でも、最終処分の判断に関する解釈・見解がまちまちとなりました。有害物質の含有に応じて安定型最終処分場に埋め立てるのか、管理型最終処分場に埋め立てるのかといった判断が分かれる結果となりました。
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執筆者情報

一般社団法人エネルギー情報センター
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