再エネの電気から食料をつくる、農業に適さない砂漠などでも生産可能
| 政策/動向 | 再エネ | IT | モビリティ | 技術/サービス | 金融 |
2017年09月05日
一般社団法人エネルギー情報センター

7月にフィンランドのラッペーンランタ大学が、食品を電気から生産する研究成果について発表しました。太陽光パネルなどがあれば、砂漠など農業に適さない地域でも生産可能としており、世界の食糧問題を軽減させる可能性を示す内容となります。
食品を電気から生産、原材料は空気から入手可能
国際的な食糧問題に関して、国際連合食糧農業機関(FAO)によると、栄養不足蔓延率(PoU)は1990~1992年の18.6%から2014~2016年の10.9%に低下しています。このように、世界人口に占める栄養不足人口は減少しており、改善傾向にあるものの、一方でいまだに多くの人々が食料に窮している状況にあります。世界中でおよそ7億9500万人(2014~2016年データ)の人々が栄養不足に苦しんでおり、これは9人に1人の割合となります(図1)。

図1 世界の栄養不足の状況 出典:Food and Agriculture Organization of the United Nations
こうした中、フィンランドのLappeenranta University of Technology(LUT)が、食品を電気から生産する研究成果について発表しました(図2)。太陽光パネルなどがあれば、砂漠など農業に適さない地域でも生産可能としており、世界の食糧問題を軽減させる可能性を示す内容となります。原材料は空気から入手可能であり、再生可能エネルギーにより食品を生産することが可能となります。

図2 電気からつくられた食品 出典:Lappeenranta University of Technology
LUTの教授であるJero Ahola氏は、従来の農業では必要であった適切な温度、湿度、土壌といった条件を必要とせず、さらに害虫駆除の必要もないとしています。また、閉じたプロセスで必要な量の栄養素が利用されるため、水システムや温室効果ガスなど、地球環境への影響を抑える可能性があります。動物の飼料代替物としての利用する食品も開発されており、幅広い活用が期待されます。
高い栄養価、半分以上がタンパク質により構成
VTT Technical Research Centre of Finlandの主任研究者であるPitkänen氏によると、電気で作られた食品はタンパク質が50%以上、炭水化物が25%以上と非常に栄養価が高く、残りは脂肪と核酸である、としています。
光合成の10倍のエネルギー効率
研究チームの推定によると、電気から食料を作り出すプロセスは、大豆および他の製品の栽培に用いられる一般的な光合成と比較してエネルギー効率が約10倍近くになる可能性があるとしています。プロセスとしては、コーヒーカップ程度のバイオリアクター(生物反応器)を使用し、電気を使って水と二酸化炭素、微生物を反応させます(図3)。この場合、現状のところ1グラムのタンパク質の生産には約2週間かかります。
今回の食品が競争力を持つためには、生産プロセスがより効率的になる必要があります。研究における次のステップは、パイロット生産を開始することであり、技術がより一般的になることで価格が下がる大量生産品へのコンセプトが開発されます。

図3 電気から食品を作るプロセス 出典:Lappeenranta University of Technology
この続きを読むには会員登録(無料)が必要です。
無料会員になると閲覧することができる情報はこちらです
執筆者情報

一般社団法人エネルギー情報センター
EICは、①エネルギーに関する正しい情報を客観的にわかりやすく広くつたえること②ICTとエネルギーを融合させた新たなビジネスを創造すること、に関わる活動を通じて、安定したエネルギーの供給の一助になることを目的として設立された新電力ネットの運営団体。
| 企業・団体名 | 一般社団法人エネルギー情報センター |
|---|---|
| 所在地 | 東京都新宿区新宿2丁目9−22 多摩川新宿ビル3F |
| 電話番号 | 03-6411-0859 |
| 会社HP | http://eic-jp.org/ |
| サービス・メディア等 | https://www.facebook.com/eicjp
https://twitter.com/EICNET |
関連する記事はこちら
一般社団法人エネルギー情報センター
2022年02月02日
フィルム型次世代太陽電池の発電効率が、既存太陽電池と同等の15%を実現!実用化に向けた動向とエネルギーハーベスティングの可能性
昨年末、NEDOが次世代型太陽電池の実用化に向けて6件のプロジェクトを採択したことを発表しました。そこで今回は、次世代型太陽電池の最新事例と、その技術を応用した環境発電(エネルギーハーベスティング)の可能性について考えていきます。
一般社団法人エネルギー情報センター
2021年11月30日
ビジネス分野への活用が目の前に迫る量子技術。エネルギー業界への影響とは?
2021年に入り、IBM、Google、アマゾンなどによる量子コンピューターの商用化の動きが加速してきました。そこで今回は、量子技術とは何か、ビジネス活用事例、そしてエネルギー業界への影響について考えます。
一般社団法人エネルギー情報センター
2021年09月17日
Amazonが国内最大規模の再生可能エネルギー電力調達契約を締結。コーポレートPPAが国内でも活発に。
企業が発電事業者との長期契約に基づき、再エネ由来の電力を直接調達する「コーポレートPPA」が世界で広がっています。これまで、アメリカの大手IT企業中心に導入が進み、再生エネ普及を後押ししてきました。2021年9月8日、その代表格であるAmazon社が日本で大規模な太陽光発電の直接契約を行いました。今回は、コーポレートPPAに注目して、世界そして国内の動向をまとめていきます。
一般社団法人エネルギー情報センター
2021年09月06日
家庭向け蓄電池市場の広がり、海外勢やサブスク型とメーカー・販売方法も多様にvol.2
2009年からはじまった余剰電力買取制度が10年を迎え、2019年には53万件、2023年までに計165万件が制度対象外になると資源エネルギー庁が公表しています。前回は、国内の蓄電池市場の状況を整理しました。今回は、家庭用蓄電池の今後について、価格、販売モデル、システムといった3つの観点から諸外国の事例や企業のサービス事例を参考にしながら考えていきます。
一般社団法人エネルギー情報センター
2021年09月06日
スマホでサンマが焼ける日ーコラムー第19回 電力・エネルギーから考える「これからの世界」
エネルギーコストゼロの世界の実現で本当にやりたい仕事、自分の資質を活かす仕事に挑戦できたり、エネルギーシェアで、新しい価値に対して人々がお金を払う時代になったりと、豊かな世界に向かっていると信じています。



















