リチウムイオン電池の5倍以上を蓄電できる亜鉛空気電池、鉄など低コストの金属で触媒生成に成功
| 政策/動向 | 再エネ | IT | モビリティ | 技術/サービス | 金融 |
2017年08月23日
一般社団法人エネルギー情報センター

8月15日、シドニー大学は、亜鉛空気二次電池の普及を妨げる最大の障害の1つを解決する方法を発見したと発表しました。これまで、亜鉛空気電池の触媒は白金などの高価な貴金属が用いられてきましたが、今回の発見により、鉄など安価かつ大量に存在する金属で触媒の代用が可能となります。
亜鉛空気二次電池、充放電劣化を抑える低コストの触媒生成に成功
金属/空気電池は、一般的に正極活物質として空気中の酸素、負極活物質として金属を用いる電池のことです。この空気電池の最大の特徴は、セル外の空気中から酸素を内部に取り込んで使用するため、正極活物質をセル内に準備する必要がない点にあります。そのため、軽量化が可能となり、体積、重量の両面で有利な特徴を持ちます。
空気電池において、負極に用いることが可能な金属には、亜鉛・アルミニウム・マグネシウム・リチウムなど様々あります。この中で、亜鉛空気電池は歴史が古く、1907年にフランスのフェリーによって考案されました。日本では、1935年に古河電池が販売してから、松下電池工業が1985年、東芝電池が1987年から生産を始めました。
亜鉛空気電池は、亜鉛が世界的に豊富に存在していることから、リチウムイオン電池よりも安価に製造でき、理論的にはリチウムイオン電池の5倍以上の電池を蓄えることが可能です。つまり、軽量かつ安価、そして高エネルギー密度という特徴を持ち、一次電池として、補聴器や一部のフィルムカメラ、鉄道の信号機器などに用いられています。
一方で、空気亜鉛電池は充放電を繰り返すと亜鉛電極に樹枝状晶を析出してしまうため、充電が難しいです。また、充放電劣化を抑える触媒は白金などの貴金属のため高価であり、二次電池としての利用には適さない特徴があります。
こうした中、シドニー大学は、亜鉛空気二次電池の普及を妨げる最大の障害の1つを解決する方法を発見したと発表しました。これまで、亜鉛空気電池の触媒は白金などの高価な貴金属が用いられてきましたが、Yuan Chen教授の研究チームによる今回の発見により、鉄など安価かつ大量に存在する金属で触媒の代用が可能となります(図1)。
新しい触媒は、鉄、コバルトおよびニッケルといった素材の、①組成、②サイズ、および③結晶化度といったパラーメータを制御することにより、生成されます。研究チームによると、120時間の充放電を60回繰り返した後でも、バッテリー容量の低下は10%以下に抑えられるとしています。
Yuan Chen教授は「我々は、より持続可能な金属空気電池を実現するための基本的な技術課題を解決した」としています。
この続きを読むには会員登録(無料)が必要です。
無料会員になると閲覧することができる情報はこちらです
執筆者情報

一般社団法人エネルギー情報センター
EICは、①エネルギーに関する正しい情報を客観的にわかりやすく広くつたえること②ICTとエネルギーを融合させた新たなビジネスを創造すること、に関わる活動を通じて、安定したエネルギーの供給の一助になることを目的として設立された新電力ネットの運営団体。
| 企業・団体名 | 一般社団法人エネルギー情報センター |
|---|---|
| 所在地 | 東京都新宿区新宿2丁目9−22 多摩川新宿ビル3F |
| 電話番号 | 03-6411-0859 |
| 会社HP | http://eic-jp.org/ |
| サービス・メディア等 | https://www.facebook.com/eicjp
https://twitter.com/EICNET |
関連する記事はこちら
一般社団法人エネルギー情報センター
2022年02月02日
フィルム型次世代太陽電池の発電効率が、既存太陽電池と同等の15%を実現!実用化に向けた動向とエネルギーハーベスティングの可能性
昨年末、NEDOが次世代型太陽電池の実用化に向けて6件のプロジェクトを採択したことを発表しました。そこで今回は、次世代型太陽電池の最新事例と、その技術を応用した環境発電(エネルギーハーベスティング)の可能性について考えていきます。
一般社団法人エネルギー情報センター
2021年11月30日
ビジネス分野への活用が目の前に迫る量子技術。エネルギー業界への影響とは?
2021年に入り、IBM、Google、アマゾンなどによる量子コンピューターの商用化の動きが加速してきました。そこで今回は、量子技術とは何か、ビジネス活用事例、そしてエネルギー業界への影響について考えます。
一般社団法人エネルギー情報センター
2021年09月17日
Amazonが国内最大規模の再生可能エネルギー電力調達契約を締結。コーポレートPPAが国内でも活発に。
企業が発電事業者との長期契約に基づき、再エネ由来の電力を直接調達する「コーポレートPPA」が世界で広がっています。これまで、アメリカの大手IT企業中心に導入が進み、再生エネ普及を後押ししてきました。2021年9月8日、その代表格であるAmazon社が日本で大規模な太陽光発電の直接契約を行いました。今回は、コーポレートPPAに注目して、世界そして国内の動向をまとめていきます。
一般社団法人エネルギー情報センター
2021年09月06日
家庭向け蓄電池市場の広がり、海外勢やサブスク型とメーカー・販売方法も多様にvol.2
2009年からはじまった余剰電力買取制度が10年を迎え、2019年には53万件、2023年までに計165万件が制度対象外になると資源エネルギー庁が公表しています。前回は、国内の蓄電池市場の状況を整理しました。今回は、家庭用蓄電池の今後について、価格、販売モデル、システムといった3つの観点から諸外国の事例や企業のサービス事例を参考にしながら考えていきます。
一般社団法人エネルギー情報センター
2021年09月06日
スマホでサンマが焼ける日ーコラムー第19回 電力・エネルギーから考える「これからの世界」
エネルギーコストゼロの世界の実現で本当にやりたい仕事、自分の資質を活かす仕事に挑戦できたり、エネルギーシェアで、新しい価値に対して人々がお金を払う時代になったりと、豊かな世界に向かっていると信じています。



















