大林組、3MWクラスの大型風力発電でも超大型クレーンを使わずに組み立てる装置を開発
| 政策/動向 | 再エネ | IT | モビリティ | 技術/サービス | 金融 |
2017年05月22日
一般社団法人エネルギー情報センター

5月19日、大林組は巴技研と共同で、大型風車であっても超大型クレーンを使わない組み立てを可能とする「ウインドリフト」を開発しました。陸上用では最大規模となる3MWクラス大型風車でも対応可能であり、建設コストの低減も期待できる装置となります。
大型風力でも超大型クレーンを必要としない装置
風力発電を大型化すると上空の強い風を捉えられるという利点がありますが、地組工法やシングルブレード工法という一般的な施行では、1,200t級の超大型クレーンが必要となります。しかし、この超大型クレーンは国内には数台しかないため調達が困難であるうえ、現場への輸送も容易ではありません。加えて、従来の地組工法やシングルブレード工法では双方とも、大きな施工ヤードが必要になることなどが課題でした。
そこで、大林組は巴技研と共同で、大型風車であっても超大型クレーンを使わない組み立てを可能とする「ウインドリフト」を開発しました。現在、陸上用では発電容量3MWクラス(支柱の高さ90m程度)の風車が最大となっていますが、その最大規模であっても超大型クレーンを必要としない仕組みとなります。
これまでにも「沖縄県島尻郡佐敷町佐敷風力発電所」や「茨城県真壁郡真壁町つくば風力発電所」など、同様の装置はありましたが、3MWクラスの大型風車への対応を可能とし、ハブとブレードの建て起こし機能を加えるなど、高機能化が実現しました。
10~20%程度のコスト低減など、3つの特徴
今回開発された装置「ウインドリフト」では、10~20%程度のコスト低減が可能です。それは、施工スペースを最大30%程度削減できることから、立木の伐採や造成などの準備工事を減らすことができ、加えて超大型クレーンにかかるコストも不要となるからです。
また、風力発電所は、強風下の立地に建設される為、山岳地など狭隘な地形であったり、海辺等の地盤が良くない場所である可能性も高いです。超大型クレーンが必要な場合、こうしたクレーンが搬入路走行不可である地域は大型風力の建設が難しいです。しかし今回の装置は10tトラックなどの運搬車両で搬入できることから、山間部、離島、狭あいな現場などのさまざまな場所に搬入できます。このように搬出入が容易なことから、風車が運転を開始した後の突発的な機材の交換修理などに迅速対応することも可能です。
加えて、風の影響を受けにくいこともあり、工程遅延のリスクを軽減できます。例えば、従来のハブとブレードをそれぞれ直接風車の支柱上端に取り付けるシングルブレード工法は、3MWクラスの風車建設の場合、超大型クレーンを使用して高所へ部材を吊り上げたうえで、取り付ける作業が必要です。このような高所での作業は、風の影響により工程が大きく左右されることが課題でした。一方で「ウインドリフト」では、ハブとブレードを立木上空(地上10m程度)で前もって水平に組み立て、油圧ジャッキにより安定してリフトアップすることから、風の影響を受けにくくなります(図1)。

図1 ウインドリフトを用いた工法 出典:大林組
大林組グループ最初の風力発電で利用
この続きを読むには会員登録(無料)が必要です。
無料会員になると閲覧することができる情報はこちらです
執筆者情報

一般社団法人エネルギー情報センター
EICは、①エネルギーに関する正しい情報を客観的にわかりやすく広くつたえること②ICTとエネルギーを融合させた新たなビジネスを創造すること、に関わる活動を通じて、安定したエネルギーの供給の一助になることを目的として設立された新電力ネットの運営団体。
| 企業・団体名 | 一般社団法人エネルギー情報センター |
|---|---|
| 所在地 | 東京都新宿区新宿2丁目9−22 多摩川新宿ビル3F |
| 電話番号 | 03-6411-0859 |
| 会社HP | http://eic-jp.org/ |
| サービス・メディア等 | https://www.facebook.com/eicjp
https://twitter.com/EICNET |
関連する記事はこちら
一般社団法人エネルギー情報センター
2021年10月07日
進む、自治体のゼロカーボンシティ宣言。北欧や、吹田市「再エネ100%タウン」など、先進的な取り組みに続けるか。
2050年までのカーボンニュートラル、脱炭素実現に向けて、連日各自治体により「ゼロカーボンシティ」宣言が報道されています。この動きを宣言、表明だけでとどめず、具体的な取り組みにしてくためにはどういたら良いのでしょうか。今回は、先進的な4つの国内外の事例をご紹介していきます。
一般社団法人エネルギー情報センター
2021年06月07日
気候変動サミットで打ち出された13年度比46%減の目標。日本はどう実現していくのか
アメリカのバイデン大統領が主催した気候変動サミットが4月22日から23日までオンラインにて開催されました。主要排出国の中国やインド・ロシアも含め、40の国と地域の首脳が参加しました。また、日本の菅首相が削減目標をこれまでの26%から46%に引き上げたことが注目されました。そこで今回は、各国の現状や削減目標、主な取り組みを見ていった後に、目標の実現に向けて、日本ではどのような取り組みがされ、どのような課題があるのかを考えていきたいと思います。
一般社団法人エネルギー情報センター
2021年04月11日
次世代エネルギーの目玉である水素と国内各社の最新の取り組みについて
CO2排出実質ゼロ、枯渇性化石燃料に頼らない脱炭素社会の実現を目指して世界が激しく動く中、次世代エネルギーの主役候補として脚光を浴びている水素。なぜ水素が注目されているのか、普及に向けた課題や、国内の最新の取り組みについてお伝えしていきます。
一般社団法人エネルギー情報センター
2020年06月24日
電気は需要と供給のバランスが重要となります。電力会社がバランスを常に保てるよう努めていますが、電力需要の減少で再生可能エネルギーの供給超過となり、出力制御の実施が増えています。
一般社団法人エネルギー情報センター
2019年10月28日
台風15号による停電、約80%が太陽光発電の自立運転機能を活用、JPEA調査
太陽光発電協会(JPEA)は、台風15号によって発生した大規模停電に際し、停電の規模が大きかった千葉県において「太陽光発電の自立運転機能」の活用についてのヒアリング調査を実施、10月17日に結果を発表しました。同調査のヒアリング対象は、JPEAの会員会社を通じて太陽光発電設備を設置している486件であり、調査期間は2019年9月20日(金)~10月10日(木)となります。



















