東京電力、5G整備も見据え送電鉄塔の貸出を拡大、地図システム「SITE LOCATOR」開始
| 政策/動向 | 再エネ | IT | モビリティ | 技術/サービス | 金融 |
2017年07月20日
一般社団法人エネルギー情報センター

7月18日、東京電力パワーグリッドは、次世代通信技術である5Gの整備拡大などに対応するため、地図ベースのシステム「SITE LOCATOR」を、各携帯電話事業者向けに提供開始すると発表しました。東京電力パワーグリッドが保有する送電鉄塔情報と、JTOWERが保有する物件情報を掲載する地図システムとなります。
東京オリンピックまでの実現を目指す、次世代通信「5G」
携帯電話をはじめとするモバイルサービスは、加入数が人口を上回るほど普及し、日常生活に不可欠なインフラとして広く浸透しています。移動通信システムの始まりは1980年代に開始されたアナログ方式のモノであり、これまで世代交代が行われる度に通信速度の向上や機能の変革が行われてきました。
総務省によると、現在のシステムは30年前と比較し、通信速度が約1万倍と大幅な高速化を実現しています。そうした高速化により、開始当初は音声通話に限られていたサービスは、今ではテキストメッセージやインターネット、写真付きメール、動画、SNSと進化しており、生活を豊かにしています。
現在、さらなる高速化等を実現するべく、2020年の実現を目指して第5世代移動通信システム(5G)導入への期待が世界的に高まっています。各国で5Gの実証実験に向けた活動が盛んに行われており、国際的な動向としては、ITU(国際電気通信連合)が2015年にIMT勧告を策定するなど、標準化活動が本格化しています。
日本においては「第5世代モバイル推進フォーラム」が2014年に設立されています。また、今年の5月には5G総合実証試験が開始しており、2020年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会までの5G実現に向け、様々な活動が展開されています(図1)。

図1 5G実現に向けたロードマップ 出典:総務省
5G整備も見据え送電鉄塔の貸出を拡大、東京電力が地図システム「SITE LOCATOR」開始
東京電力は1999年より「送電鉄塔貸出事業」を実施してきており、携帯電話事業者の基地局を設置するための場所として送電鉄塔を貸し出していました。そうした貸し出し事業を拡大するため、東京電力パワーグリッドは地図ベースのシステム「SITE LOCATOR」を、各携帯電話事業者向けに提供開始すると発表しました。
「SITE LOCATOR」は、東京電力パワーグリッドが保有する送電鉄塔情報と、JTOWERが保有する物件情報を掲載するシステムとなります。JTOWERは、携帯電話事業者や大手不動産会社に対し電波対策ソリューションを提供する事業を行っており、基地局設置用に貸し出し可能な建物屋上の物件情報を保有している企業です。
現状、携帯電話事業者は、基地局の設置が可能な場所を選定するために、建物や鉄塔の所有者と個別に直接貸し出し可否の確認を行っています。しかし、「SITE LOCATOR」では送電鉄塔情報と建物屋上の物件情報を合わせて地図上に視覚的に提供することで、携帯電話事業者は建物や送電鉄塔の所有者に個別に交渉することなく、容易に基地局の設置場所を選定することが可能となります。
仕組みとしては、東京電力パワーグリッドが貸し出し可能な送電鉄塔の位置、高さ、周辺環境などの情報をJTOWERへ提供し、JTOWERは東京電力パワーグリッドの送電鉄塔情報と、独自に収集した建物屋上の物件情報を合わせ地図に反映させます(図2)。

図2 「SITE LOCATER」操作画面 出典:東京電力パワーグリッド
携帯電話基地局は4G LTEが普及した現在でも、毎年1兆円規模の工事が実施されています(図3)。これに加えて、数年後には5Gの基地局整備も始まることから、今後ますます基地局向けの設置場所ニーズは高まるものと想定されます。

図3 携帯電話基地局が設置されている送電鉄塔 出典:東京電力パワーグリッド
また、5Gは単に4Gから置き換わるといったものではなく、「超高速+IoTの基盤技術」を実現するキーテクノロジーです。大きな市場を創出するものであり、スマートフォンといった従来型の端末をベースとしたビジネスだけでなく、IoTや自動車、産業機器、スマートメータといった新しい分野の市場創出の可能性があります。
例えば、5Gはセンサーネットワーク、ロボットのリアルタイム操作、自動走行や8K等の高精細動画伝送での利用も想定した仕様となっており、新しい付加価値を生み出すポテンシャルがあります(図4)。今回の地図システム「SITE LOCATOR」は、5Gのインフラ整備の拡大も見込んだサービスとなり、それが5G自体の普及を後押ししてくことが期待されます。

図4 5Gの利用で変わること 出典:総務省
東京電力パワーグリッドは、2017年6月時点で送電鉄塔約45000基を保有しており、その内で貸出可能な物件数は約1000件です。東京電力パワーグリッドは、引き続き提供可能な物件数を増やすとしています。
この続きを読むには会員登録(無料)が必要です。
無料会員になると閲覧することができる情報はこちらです
執筆者情報

一般社団法人エネルギー情報センター
EICは、①エネルギーに関する正しい情報を客観的にわかりやすく広くつたえること②ICTとエネルギーを融合させた新たなビジネスを創造すること、に関わる活動を通じて、安定したエネルギーの供給の一助になることを目的として設立された新電力ネットの運営団体。
| 企業・団体名 | 一般社団法人エネルギー情報センター |
|---|---|
| 所在地 | 東京都新宿区新宿2丁目9−22 多摩川新宿ビル3F |
| 電話番号 | 03-6411-0859 |
| 会社HP | http://eic-jp.org/ |
| サービス・メディア等 | https://www.facebook.com/eicjp
https://twitter.com/EICNET |
関連する記事はこちら
一般社団法人エネルギー情報センター
2022年02月02日
フィルム型次世代太陽電池の発電効率が、既存太陽電池と同等の15%を実現!実用化に向けた動向とエネルギーハーベスティングの可能性
昨年末、NEDOが次世代型太陽電池の実用化に向けて6件のプロジェクトを採択したことを発表しました。そこで今回は、次世代型太陽電池の最新事例と、その技術を応用した環境発電(エネルギーハーベスティング)の可能性について考えていきます。
一般社団法人エネルギー情報センター
2021年11月30日
ビジネス分野への活用が目の前に迫る量子技術。エネルギー業界への影響とは?
2021年に入り、IBM、Google、アマゾンなどによる量子コンピューターの商用化の動きが加速してきました。そこで今回は、量子技術とは何か、ビジネス活用事例、そしてエネルギー業界への影響について考えます。
一般社団法人エネルギー情報センター
2021年09月17日
Amazonが国内最大規模の再生可能エネルギー電力調達契約を締結。コーポレートPPAが国内でも活発に。
企業が発電事業者との長期契約に基づき、再エネ由来の電力を直接調達する「コーポレートPPA」が世界で広がっています。これまで、アメリカの大手IT企業中心に導入が進み、再生エネ普及を後押ししてきました。2021年9月8日、その代表格であるAmazon社が日本で大規模な太陽光発電の直接契約を行いました。今回は、コーポレートPPAに注目して、世界そして国内の動向をまとめていきます。
一般社団法人エネルギー情報センター
2021年09月06日
家庭向け蓄電池市場の広がり、海外勢やサブスク型とメーカー・販売方法も多様にvol.2
2009年からはじまった余剰電力買取制度が10年を迎え、2019年には53万件、2023年までに計165万件が制度対象外になると資源エネルギー庁が公表しています。前回は、国内の蓄電池市場の状況を整理しました。今回は、家庭用蓄電池の今後について、価格、販売モデル、システムといった3つの観点から諸外国の事例や企業のサービス事例を参考にしながら考えていきます。
一般社団法人エネルギー情報センター
2021年09月06日
スマホでサンマが焼ける日ーコラムー第19回 電力・エネルギーから考える「これからの世界」
エネルギーコストゼロの世界の実現で本当にやりたい仕事、自分の資質を活かす仕事に挑戦できたり、エネルギーシェアで、新しい価値に対して人々がお金を払う時代になったりと、豊かな世界に向かっていると信じています。



















