世界初、海流発電の100kW級実証試験、2020年の実用化を目指す
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2017年07月11日
一般社団法人エネルギー情報センター

7月7日、NEDOとIHIは水中浮遊式海流発電システムの100kW級実証機「かいりゅう」を、IHI横浜事業所で完成させたと発表しました。今夏、実際に海流を利用した100kW規模の海流発電としては、世界初となる実証試験が行われます。
海流エネルギー、日本は黒潮により高ポテンシャルを保有
日本の国土面積(約38万km2)は世界第61位の広さですが、一方で管轄する排他的経済水域(EEZ)の面積(約447万km2)は世界第6位の海洋大国です。このEEZにおける海洋エネルギーの利用は、温室効果ガスの排出抑制や、エネルギー安全保障の面からも積極的な推進が求められます。
海洋エネルギーの活用には、風力、波力、潮力など様々あり(表1)、新たな再生可能エネルギーとして世界的に期待されています。この内の海流エネルギーについては、日本周辺には黒潮が流れているため、ポテンシャルは大きいとされています。また、海流は太陽光や風力に比べて昼夜や季節による変動が少ないという特徴を持ちます。
| 洋上風力発電 | 海上に吹く風の力で発電 |
|---|---|
| 波力発電 | 海の運動エネルギーを利用して発電 |
| 潮流発電 | 海水の流れである潮流の力を利用して発電 |
| 潮汐力発電 | 海の干満の差で得られる位置エネルギーを利用して発電 |
| 海流発電 | 海流の運動エネルギーを変換して発電 |
| 海洋温度差発電 | 海の表層と深層の温度差を利用して発電 |
| 塩分濃度差発電 | 海中の塩分濃度の差を利用して発電 |
表1 海洋エネルギー利用の種類 出典:佐賀大学資料、NEDO資料より作成
2010年度のNEDOによる「海洋エネルギーポテンシャルの把握に係る業務」では、海流エネルギーの賦存量は約205GWと試算されており、日本の総発電容量に匹敵する規模です。 ただし、実際の機器の設置や、導入に適した流速(水深5mで1m/s以上)を得られる地域などを考慮すると、現実的な導入量は約1.3GWとなり、発電可能量は10TWh(年間電力需要の約1%)と試算されています。
世界初、海流を利用した100kW規模の海流発電
海流エネルギー発電の研究開発について、日本ではNEDOが2011年度から取り組んできました。そして2017年7月7日、NEDOとIHIは水中浮遊式海流発電システムの100kW級実証機「かいりゅう」を、IHI横浜事業所で完成させたと発表しました。今夏、実際に海流を利用した100kW規模の海流発電においては世界初となる実証試験が行われます(図1)。

図1 (左)水中浮遊式海流発電システム海中への設置イメージ (右)運搬用の台船に載った実証機「かいりゅう」 出典:NEDO
日本において安定した海流エネルギーが得られる地点としては、八重山諸島、トカラ列島、足摺岬沖、八丈島沖などが挙げらます。今回の実証実験は、トカラ列島の最北端に位置し、今も水蒸気を吐き出す燃岳に象徴される火山島である「鹿児島県十島村口之島」です。
「鹿児島県十島村口之島」は、内閣府総合海洋政策推進事務局の海洋再生可能エネルギー実証フィールドに選定されています。黒潮が流れる口之島北側海域の沖合約5km、水深100mの地点に実証機を設置する計画です(図2)。
串木野港沖合で7月下旬頃から1週間程度の曳航試運転が行われた後、口之島沖で8月中旬頃から1週間程度の実証試験を実施する計画となっています。なお、「かいりゅう」という名称は、十島村の小中学生から公募した中から十島村村長が選定し、命名されたものです。

図2 実証試験の場所出典:NEDO
年間60%以上の高い設備利用率
今回の100kW規模を実現するシステムは、海底に設置したシンカーから浮体式発電装置を海中に係留し、海流の流れによって、タービン水車を回転させることで発電する仕組みです(図3)。昼夜や季節によるエネルギー変動が少ないため、年間60%以上の高い設備利用率での発電が可能です。
また、海底から係留して海中に浮遊させることで、1000m級の大水深域での設置にも対応できます。波浪の影響を受けない安定した運用が可能であり、船舶の航行に支障を及ぼさず、設置可能海域を広く設定することができます。
そのほか、左右2基の水中タービン水車を互いに逆方向に回転させることで、タービンの回転に伴う回転トルクを相殺でき、海中で安定した姿勢を保持できます。メンテナンスや修理も容易であり、浮力を調整することができるため、保守整備時には必要に応じて海上に浮上させることができます。
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