発電単価の低い石炭火力の新設容認へ
| 政策/動向 | 再エネ | IT | モビリティ | 技術/サービス | 金融 |
2016年02月12日
一般社団法人エネルギー情報センター

環境省が、石炭火力発電の新設を容認する方針を示しました。一方で、日本は国際公約や自主規制によりCO2排出量の削減を定めているため、経済性と環境保護のバランスを考慮した開発が促進されていくと考えられます。
環境省が石炭火力の容認
環境省が石炭火力発電所の建設を容認する方針に転じました。これまでは二酸化炭素の排出量が多いとして新設に慎重でしたが、電力業界の管理強化を条件に容認する形です。
環境大臣は、昨年5回にわたり、環境影響評価(環境アセスメント)の観点から石炭火力の新設を「是認しがたい」としていました。一方、東日本大震災以降、原子力発電の停止により石炭火力の新規建設案が2012年以来続出し、現時点では47基、設備容量2250.8万kWとなりました。G7の中で比較すると、日本の石炭新設計画は規模が大きく、電力業界としては自由化をにらんだ単価の低い発電所の需要が高まっていると考えられます。(図1)
図1 G7の石炭火力建設計画 出典:E3G Japan isolated as USA leads the way in G7 move beyond coal
各電源の単価
電力業界が石炭火力の普及を推し進めたい理由として、単価の低さがあります。コスト等検証委員会による試算によると、コモディティ価格等による変動はありますが、石油発電の単価は20円程度であるのに対し、石炭発電は10円程度と、半分ほどの費用で電力を作ることができます。(図2)
図2 各電源の発電コスト 出典:コスト等検証委員会
石炭火力建設の監視ルール
環境省は経産省と協力し、省エネ法とエネルギー供給構造高度化法に基づき、業界の取り組みを監視するルールを整備します。石炭を含む火力発電の効率に数値目標を定めて、効率の悪い設備の廃炉を促すほか、非化石電源の利用を合計で44%以上にするよう各電力会社に求めます。
CO2の削減目標
昨年末日本が合意したパリ協定では、今世紀後半のCO2排出を実質ゼロにするとしています。また、環境省の「気候変動長期戦略懇談会」においては、2050年80%削減の方向性が示されました。日本においては、2030年時点のCO2排出量を2013年と比較し26%減らす国際公約を掲げました。電力業界については、2030年度の1kWhあたりのCO2排出量を、2013年度比で約35%削減するとの自主目標を発表しています。
世界の動きとしては、アメリカが石炭発電の規制方針を示し、イギリスが2025年に既存の石炭火力の撤廃を決めるなどがあります。そのため、日本においても今回の石炭発電の容認といった電力業界の便益や経済性の向上に加えて、CO2排出量の少ない電源の確保も進められると考えられます。
出典:電気事業連合会
この続きを読むには会員登録(無料)が必要です。
無料会員になると閲覧することができる情報はこちらです
執筆者情報

一般社団法人エネルギー情報センター
EICは、①エネルギーに関する正しい情報を客観的にわかりやすく広くつたえること②ICTとエネルギーを融合させた新たなビジネスを創造すること、に関わる活動を通じて、安定したエネルギーの供給の一助になることを目的として設立された新電力ネットの運営団体。
| 企業・団体名 | 一般社団法人エネルギー情報センター |
|---|---|
| 所在地 | 東京都新宿区新宿2丁目9−22 多摩川新宿ビル3F |
| 電話番号 | 03-6411-0859 |
| 会社HP | http://eic-jp.org/ |
| サービス・メディア等 | https://www.facebook.com/eicjp
https://twitter.com/EICNET |
関連する記事はこちら
一般社団法人エネルギー情報センター
2021年08月10日
家庭部門のCO2排出量66%減目標、住宅の省エネルギー対策「ZEH」とは
コロナの影響により在宅勤務が日常的なものとなったことで、私たちはより快適性や経済性に優れた住まいに対する関心は高まりつつあるのではないでしょうか。そのような中で、7月26日に政府が公表した「地球温暖化対策計画」の原案で、温室効果ガスの排出量を家庭部門で66%削減する検討をしていることが明らかになりました。また、27日には再生可能エネルギー等に関する規制等の総点検タスクフォース(以下、タスクフォース)にて新築戸建て住宅の約6割に太陽光発電設備を設置することが表明されました。そこで今回は、家庭部門の省エネルギーの取り組みについて、その中でも特に「ZEH(ゼッチ)」に注目して考えていきます。
一般社団法人エネルギー情報センター
2021年07月09日
世界的な半導体不足の中で、『次世代パワー半導体・先端半導体』は日本の脱炭素×成長戦略のキーワードとなるか
5月19日、トヨタ自動車は「世界的な半導体不足で国内の2つの工場の稼働を一時停止する」と発表しました。約2万台の生産に影響が出るといいます。加藤官房長官は「半導体は産業のコメともいわれ、経済社会を支える極めて重要な基盤の部品」と述べた上で、「代替装置の調達支援など経済産業省でしっかり対応していく」としました。しかし、31日、米インテルCEOは「半導体不足解消はあと数年かかる」という見方を発表しています。 では今回は、いつから、どうしてこのような半導体不足という事態が起こったのか、またそこから見えてきた課題とは。そしてそれを克服し、脱炭素社会実現と経済成長の原動力とするための日本の取り組みについてご紹介していきます。
一般社団法人エネルギー情報センター
2021年04月11日
新型コロナウイルス感染症を契機に、世界のデジタルトランスフォーメーションの流れが一気に加速しました。ある観点から見れば、デジタル化は環境にプラスの影響を与える一方で、デジタル化の副作用の一つに環境への影響があります。Facebookは「北極圏の近く」にデータセンターをつくっていますし、マイクロソフトは海中にデータセンターを沈めるなどテックジャイアントと呼ばれる企業でもさまざまな取り組みがされています。そこで、今回は、国内外の取り組みを参考に、プラスの影響とは何か、環境への負荷とは何かについて考えます。
一般社団法人エネルギー情報センター
2021年03月15日
日本のスポット電力価格は、約4週間にわたり高騰している。世界の主要な電力市場では、これほど長期間の高価格を見たことがない。この状況は、新電力に大きな損失をもたらし、破産する企業がでてくる可能性がある。この記事では、日本の状況を2016年のフランスの同様の状況と比較し、日本のこの状況が再発しないようにするための市場の透明性と先物取引、リスク管理の重要性を説明する。
一般社団法人エネルギー情報センター
2021年02月24日
米・バイデン政権の気候変動対策とは?世界、そして日本への影響は?【前編】
バイデン政権の気候変動対策ではどのような取り組みがなされ、どのような効果が期待できるのか、そして世界や日本への影響はどのようなものが考えられるのかについて、2回に渡り考えていきます。



















